小説『Sector31』

第2話633キロカロリー

この宇宙船で何度朝を迎えたのか、はっきりとは覚えていなかった。それでも、目が覚めたら何をすればいいかはわかっていた。

ガラスの蓋が上がった。カプセルの背もたれから風が吹き出し、素肌を押した。目を開けて体を起こし、カプセルの外へ足を下ろした。

いつ眠ったのかは覚えていなかった。

眠っているあいだ、同じ場面を何度も見た気がした。何だったのか思い出そうとすると、何もつかめなかった。目覚めるたび、そうだった。

少し座ってから立ち上がった。向かいの画面は消えていた。脇のスイッチを押した。

「T956。熱量633キロカロリー。ビタミンD、15マイクログラム。製造完了」

画面の下の小さな扉が上がり、受け皿がせり出した。指の関節二つ分ほどの黒いキューブが載っていた。

口に入れると、乾いた塊は唾液に触れて崩れた。塩気のあとに、鉄をなめたような味が少し残った。脇のコップを取り、水と一緒に飲み込んだ。

壁の戸棚を開けると、洗浄済みの宇宙服が掛かっていた。厚ぼったく見えるのに、持ち上げるとほとんど重さを感じなかった。

足を入れ、袖に腕を通した。服が肩と手首に合わせて、少しずつ締まった。

あとは砲撃場へ行けばいい。

そう思って、襟元を閉じかけた手を止めた。昨日、Dが今日は予定が違うと言っていた。何の予定だったかは、すぐには浮かばなかった。

そのとき画面がつき、Dの顔が映った。

「睡眠中、身体に異常はありませんでした。気分はどうですか」

Dの顔の隣に、体の状態を示す青い棒と数字が並んでいた。

身体機能98.45パーセント。シナプス結合正常。常在菌、正常範囲。生体スコア99。

画面の数字を見て答えた。

「大丈夫だと思います」

Dがかすかに笑った。

「昨日お話ししましたね。今日からは砲撃の練習ではなく、星を救う任務のための練習をします」

この物語の星を、ゲームでも降りていけます。
『Sector31』は2027年初頭リリース予定のパズルストラテジーです。

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